神戸大学様におけるLMS(学習管理システム)の構築・運用
LMS(学習管理システム)の構築・運用
システムの導入目的
- 教育プログラムを実施する上で必要な機能を保持したLMSを構築する
- 教育プログラムをLMSで運用する
弊社の担当範囲
- OSS(Open Source Software)MoodleをカスタマイズしたLMSの開発
- LMS上での教育プログラムの運用支援
- eラーニングコンテンツの作成支援
神戸大学 ご担当者様の声
LMS、Moodle導入の経緯をお教えください
数理・データサイエンスセンターでは、2022年度に「Society 5.0と地方創生を加速させる次世代DXリーダ育成プログラム」をスタートさせました。当プログラムは、文部科学省「DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業」に採択されたリスキリングを推進し、学習者のキャリアアップへと繋げるプログラムです。
リカレント教育実施に際して、主に社会人の方を受講生として受け入れ、大学の教育を行うこととなります。基本的には大学内部の学生ではないので、学生番号を割り当てたり、学内のラーニング・マネジメント・システム(LMS)を使ったりということができません。受講生の進捗や成績の管理や業務の手続きを滞りなく行うためには、リカレント教育専用のLMSを数理・データサイエンスセンターで導入するのは必須の要件だったわけです。
数あるLMSの候補から、一番実績のあったMoodleを選定しました。大学で導入されていたLMSがMoodleだったのも、選んだ理由の一つです。また、数理・データサイエンスセンターで行っているPythonの単元等では、プログラミング課題を自動採点する必要があります。それを可能にする機能を保持していることも、Moodle導入の決め手になりました。
部局での新たなシステム構築においては、学内の規則を遵守しながら手続きを進めなくてはなりません。高いセキュリティ要件から、色んな業者でうまくいかなかったこともありました。そんなところを、eftaxさんにはかなり柔軟で迅速にやっていただき、本当に助かりました。
実際にLMS、Moodleを導入されてみて、いかがでしたか
利用者数が多いほどスケールメリットがあり、このLMSは効果を発揮します。例えば、昨年度の「DX基礎講座」ではのべ数百名の受講がありました。採点から教務関係の手続きまで、LMSなしではやっていけなかったなぁと振り返っています。
講座によっては、受講、採点、修了証取得までを含めて自動化していただきました。受講生は、好きな時に始めて好きな時に課題に取り組むことができ、合格すれば修了証が自動で発行されます。こうした一連の流れが途中で人を介さずともスムーズに運べることは、受講される方にとって利点になると考えております。
また、リカレント教育の特性上、企業様を通して受講いただくケースが多くあります。その点において、各受講生のアクティビティがLMSに記録され可視化できるのは、企業担当者様に非常に喜ばれている点です。学習状況が所属企業様へ共有されることに同意の上受講される場合では、進捗や評定に関する企業担当者様からのお問合せは少なくありません。これらを手動で管理するとしたら実に大変な業務になるので、改めて必須機能だと感じます。
今後も事務手続き等はなるべく自動化を進め、教材やテストの考案をはじめとした教員にしかできないクリエイティブな業務に注力できる環境を整えていく予定です。そうすることで、よりたくさんの受講生を受け入れられる魅力ある講座が提供できるのではないかと考えています。
そういった面においても、全世界的にシェアがあり、プラグインが豊富で、ソースコードも閲覧できるMoodle LMSという選択肢は良かったと思っています。
LMS、Moodle導入を成功させるためのコツ
LMS導入が必須な今、各大学のやりたい教育、カリキュラムへ適合可能なLMSを選ばなければいけないと思っています。MoodleはOSSであり、コミュニティも盛んで、情報がたくさんあります。カリキュラムは変わっていくものなので、その変化と要求に追従できる余地があるシステムを選ぶというのが一つ大事かと思います。
もう一つ重要性を感じているのが、授業担当者、事務担当者へのファカルティ・デベロップメントです。慣れているシステムを使いたいというニーズは、受講生のみならず教員側にも受講生にもあります。ガラッと変わると障壁ができてしまうので、既存のシステムを大幅に変えることなく、誰もが利用できる状態にするのが大切です。Moodleは拡張性に優れた一方で、痒いところに手が届かないような課題点が運用を通して見えてきたので、今後改良を加える予定です。カリキュラムの要求に応じて改善点があればザッと洗い出し、スキルがあるeftaxさんのような会社に依頼するというのが、成功させるコツなのかと思います。
当社のサービスに対してご意見やご感想をお願いいたします
LMSの構築の部分については高い技術力を要します。高水準のセキュリティ要件も満たさねばなりません。
あとは納期ですね。大学の手続きには時間がかかり、構築から運用開始までのスパンが非常に短くなる傾向があります。そういった無茶な要望に対しても、eftaxさんにはかなり柔軟に応えていただき、本当に助かりました。
また、LMSは単に構築して終わりではなく、それを使って授業をしなければなりません。システムの保守・運用に、教材の作成も加わるので、特に立ち上げ時はかなりヘビーな負荷がかかります。eftaxさんにはシステムの保守のみならず、Moodle LMS上の管理やe-learning教材の作成等の運用面においても、柔軟に助けていただいているところです。非常に技術力も高いですし、納期を守って迅速に進めてくださる等対応能力もきちっとしていて、非常に助かっているというのが私の正直な感想です。
国がリカレント教育、社会人教育に力を入れています。リカレント教育についての想いをお聞かせください
国をあげての推進が、新しいスキルとしてわかりやすい「DX」「データサイエンス」という領域から始まりました。神戸大学としても、大きなプロジェクトとして先駆けて取り組んでいるところです。
移り変わりが激しいこの時代において、様々な分野で危機感を持っているとの声を耳にします。「定年後に何をするか」「思い浮かぶ自分の未来の姿は?」「自分として、それでいいんやろか」と。共同研究を行っていた組織の方に「先生なんかいいのないですか」と聞かれて、Moodle LMSで提供しているリカレント教育を紹介したこともありました。「こんなのあるんですか!色々探していたんですけど20万、30万とかするんですよ」と仰るので、「この講座なら2万円でいけます」というようなご案内をしたんですけど(笑)。時代がどんどん変革していく中で、自分を高める需要は増えていくんじゃないかと思います。
一方で、子どもの数は減ってきています。単に大学生を受け入れて送り出す従来の形に留まらずに、大学という教育機関ならではの特色を活かした教育を提供することを真面目に考えねばらならない時期にきているのではないかと思っています。数理・データサイエンスとは全く異なる分野の学部を卒業した社会人に対しても、教育の間口を広げることはデフォルトになっていくでしょう。
もう一つ大切なのは、差別化です。塾或いはオンライン講座が数多存在します。大学としてはプロフィットを求めるというよりは持続可能で尚且つ、大学ならではのコンテンツを提供したいですね。「受講してよかったな」「面白かったな」と思ってもらえるような内容にしなければなりません。そこが値打ちになるのかなと思っています。
リカレント教育は、数理・データサイエンスセンターだけではなく、学部、部局の垣根を越え神戸大学全体に広がりつつあります。構築・運用いただいているLMSのノウハウが全学のリファレンスになり、今後のリカレント教育構想に展開されていくかもしれません。
弊社担当者より
この度の神戸大学様のLMS開発および運用サポートは、関西圏でのDX推進企業としても非常に価値あるプロジェクトでした。中村先生や神戸大学数理・データサイエンスセンターの先生、事務の方々のご支援にも感謝申し上げます。
今後本プロジェクトで培ったノウハウをもとに、他の大学や教育機関様でもLMSの開発・運用で弊社にサポートできることがありましたら、ぜひお気軽にご相談いただければ幸いです。