「中小企業のためのディープラーニング」を開催しました。

7月13日(金)14時00~17時40分で、大阪府天王寺のコワーキングスペース・あべのトラスで大阪府、日本マイクロソフト株式会社、株式会社キカガクと弊社の共催イベント「中小企業のためのディープラーニング」を開催しました。

当日は酷暑にもかかわらずセミナー106名、交流会32名の方にご参加いただきました。
今回のセミナーの目的は、色々なリソースが欠如する中小企業でもディープラーニングに取り組んでいただくためのきっかけを掴んでいただくこと。

第一部の講演では、ユーザー企業代表として有限会社ゑびやの代表取締役・小田島春樹氏にご登壇いただきました。

伊勢神宮の前のゑびや大食堂は、小田島氏が入社された当初、番頭さんが紙で帳面を付けていたようなところからスタートし、そこからBIツールやタブレット端末、AI技術などを次々と導入し、来店客数予測やメニュー注文予測、店舗ディスプレイのABテストなどさまざまな施策を実行に移し、売上を5倍、経常利益率を10倍に伸ばされた経緯をご紹介いただきました。
メニュー注文予測により前日の効率的な仕込み作業による労働時間の短縮や食材ロスの低減による食材品質の向上など、データ分析によるPDCAサイクルを高速に回転させることで好循環を生み出されています。

こうした施策に取り組み始めたきっかけはやはり人手不足の問題が大きく、自動化できることは徹底的に自動化し、従業員の働き方改革・待遇改善に取り組んでこられたとのこと。結果として残業ゼロ、完全週休2日制、年間15日休暇などを実現し、次の目標は全従業員に対して1ヶ月休暇を取ってもらうことだそうです。

続いて株式会社キカガクの多森康二氏、日本マイクロソフトの廣野淳平氏、畠山大有氏にご登壇いただき、ディープラーニングを導入する上での教育・人材育成や技術的問題についてご講演いただきました。

両者のお話に共通していたのは、日本ではまだまだディープラーニングのモデリングや精度向上にばかり目が向けられているが、大事なのは「AIやディープラーニングで解決すべき課題を見つけること」、「それを解決するための企画・設計ができること」、そして「社会実装し、ビジネス価値を産み出すこと」の三点だということです。
その視座が抜け落ちたまま、“AIを導入すれば何かが劇的に改善するのではないか”という淡い期待だけでプロジェクトを進めてしまうと十中八九失敗に終わるとのこと。

まずはきちんと解決すべき課題を特定し、それが本当にAIで解決すべき課題なのか、どの程度のコスト削減や付加価値向上につながるのか、そうした定量的な評価や議論を踏まえたうえで導入を進めることが重要であると強調されていました。

四人目の登壇者は近畿経済産業局の次世代産業・情報政策課の有馬貴博氏です。有馬氏からは国のAIやIoT分野での支援施策についてご紹介いただきました。こうしたプロジェクトの成否が判然としない先端技術の導入においては行政分野からの支援や情報提供も欠かせません。
最後に4名の登壇者を交え、パネルディスカッションを実施しました。意思決定の早い中小企業がまずは何か課題を発見し、どんどんチャレンジしていくことが大事だということで締めくくりました。

ご来場者の皆様および登壇者の方々、誠にありがとうございました。
広報及び当日の運営にご協力いただいた大阪府様、会場ご提供いただいた奥村組様にも心より感謝申し上げます。

今後も関西圏を中心にさまざまなイベントや教育講座を企画開催してまいります。
皆様のご参加お待ちしております。
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